腰背部痛
脊椎は、椎骨、椎間板、筋肉、腱、軟骨、靭帯、神経からなる複雑な関節で、身体の「支持」、「運動」、「脊髄の保護」といった重要な役割を担っています。直立二足歩行への移行の代償として日常生活の中で人類を悩ませる腰背部痛。20世紀に「世紀の病」に指定されたこの痛みは、21世紀になっても相変わらずのようです。
脊椎とも呼ばれる脊柱は、文字どおり身体を支える重要な柱です。主な役割のひとつは、体幹をさまざまな方向へ屈曲、伸展、回旋、傾斜させることです。脊柱は、頸椎7椎、胸椎12椎、腰椎5椎、仙骨を形成する仙椎5椎、尾骨を形成する尾椎3~5椎の計24の椎骨から成ります。すべての関節と同様に、椎骨も多数の靭帯と筋肉によって互いに支えられており、椎骨と椎骨の間にある椎間板がクッションのような役割を果たし、体重(身体そのものの重さと私たちが持つあらゆる物の重さ)を支え、運動時に受ける衝撃を和らげます。
背中のさまざまな箇所に生じる痛み
過度の負荷、無理な動き、衝撃、あるいは椎骨や隣接する組織の摩耗は、痛みを伴うさまざまな疾患の要因となります。脊柱を構成するすべての部位で痛みが起こります。
- 腰椎の場合は腰痛:重い物を持ち上げたときに痛みで腰が動かせなくなる状態、あるいは足まで痛みが出る坐骨神経痛
- 胸椎の場合は背部痛:前傾姿勢で作業する人に肩甲骨間の痛みが多く見られます。
- 頸椎の場合は頸部痛:安眠できなかった翌朝などに生じる斜頸や追突事故による「むち打ち症」は痛みが激しいことで知られますが、変形性頸椎症も、頭痛を伴う非常に不快な症状です。
数字で見る腰背部痛
対処法は?
腰背部痛の管理は、特に以下のような療法により痛みを軽減することにあります。
- 鎮痛剤
- 患部を温めるまたは冷やす
- 一時的な適度の安静(痛みに耐えられる範囲で最大限に運動を続けることが重要)
- 必要に応じて頸椎カラーや腰サポートベルトなどで患部を保持
- 理学療法プログラム
回復を助けて痛みが長引かないようにするために、適切なリハビリテーション療法と健康管理(体重管理、ストレス管理、エクササイズ)を行い、日常生活の中で背中に負担をかけない姿勢や動作を習得することなどが推奨されます。病状に合わせた職場での仕事内容の変更や運動の調整が必要になる場合もあります。手術による治療はごくまれです。
出典
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