膝関節

膝関節は、骨、靭帯、腱、および軟骨からなり、静止姿勢と歩行を可能にする関節です。膝関節の動きは、転がりと滑りの組み合わせに基づいています。この部位の疾患は主に外傷性(十字靭帯の損傷または断裂)、もしくは変性(変形性関節症)です。

膝関節は、身体を支え、動きを可能にする重要な関節です。膝蓋骨、大腿骨、脛骨の3つの骨と、2つの関節(脛骨大腿関節と膝蓋大腿関節)、靭帯、および腱(膝蓋腱、大腿四頭筋腱)により構成されます。

外傷性疾患

靭帯の伸張、断裂を伴う損傷は膝関節の最も一般的な外傷(43%)です。治療法には、安静を保つ、アイシング、包帯の着用、患肢挙上、鎮痛剤の使用、および歩行時の杖の使用などが含まれます。重症度に応じて手術が必要になる場合もあります。軟性または硬性の装具による患部の固定は1~3週間に及びます。リハビリテーションは回復を早めるのに役立ちます。

脱臼は、関節面が転位して靭帯の断裂を引き起こす損傷です。転位を減らす(関節を正常位置に戻す)ことと、患部の固定が必要です。膝蓋骨骨折は膝蓋骨が完全もしくは部分的に骨折した状態で、適切に固定して治癒を待つ場合と、手術による治療の場合があります。

炎症

主にスポーツ選手に見られる疾患です。膝蓋腱炎はハンドボール、バレーボール、バスケットボールの選手に多く、運動中に膝蓋骨の下に痛みが生じます。膝蓋大腿疼痛症候群(膝蓋大腿部関節症)はランニングを伴うスポーツで多くみられ、長時間座っていたり降りる動作をしたときなどに膝前側の膝蓋骨の後ろのあたりに痛みを感じます。こうした炎症の治療法としては、安静を保つこと、および抗炎症剤・鎮痛剤の使用などがあります。復帰の際は補装具の着用が推奨され、大腿四頭筋の強化が必要になる場合もあります。

変形性膝関節症

変形性膝関節症は膝の関節軟骨の早期老化で、しばしば局所的な炎症や骨の変形(骨棘形成)を伴います。下肢の変形性関節症では最も多く、太りすぎや運動不足が関与するほか、スポーツ選手にも頻繁にみられます。動作をしたときの痛みや、こわばりにより動作が妨げられるなどの症状が特徴です。衛生管理と食事療法、鎮痛剤、膝装具や杖などの使用と理学療法によって痛みを緩和し、関節の可動性を回復することができます。

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